株主様の皆様へ トップメッセージ
代表取締役会長 兼 社長 CEO
国内外食、各事業とも堅調に推移
さらにもう一段上を目指していく
―物価高や円安、将来不安などの影響による厳しい環境が続いていますが、上期を振り返っての感想や今後の外部環境の見通しをお聞かせください。
2024
年上期は、各事業ともに大きな見込み違いもなく、当初の予算通り、あるいは予算を少し上回る状況で推移しています。円安を見越して準備してきましたので、外国人客に好まれるインバウンド需要に応える業態も予想を上回る好調さを維持しています。
外部環境の厳しさについては、これまで と同様に、あまり見方を変えていません。 日銀および
FRBの発表によって為替や日経平均については大きく上がったり下がったりするといった状況は、今後も続くと考えています。円とドルとの関係においては、中長期的に見ても円が弱くなっていくと予測していますので、国内では、インバウンドの需要が高い地域への出店を強化し、海外においては、引き続き積極的に投資を加速していく方針です。
“手作り”への原点回帰で差別化 各事業の下期の取り組み
―各事業の進捗状況と、下期に向けた展開についてお聞かせください。
居酒屋業態では、創業当初からの強みである“
手作り”の商品に原点回帰していこうという方針を採っています。ワタミ手作り厨房で加工した商品のラインナップを拡充し、これにより他社との差別化を図り、地域で一番店を目指しています。これが結果として居酒屋の好調をもたらすと考えています。そのための試みとして、チェーン店の強みを活かしつつも、地域の特性を上手く取り入れた店づくりにも取り組んでいます。例えば、四日市ではご当地グルメとして人気の高いトンテキを店舗限定メニューとして提供しています。チェーン店の良さと個店の良さを融合させた店づくりで、戦略的に地域一番店を目指します。
また、フランチャイズ事業についても組織も新設し居酒屋「しろくまストア」、寿司 居酒屋「すしの和」、焼肉「かみむら牧場」 そして「bb.qオリーブチキンカフェ」、「TGI
フライデーズ」など、多様なブランドで展開 を強化しています。
4月に、米国ネバダ州に拠点を置く「サニー・スシ・カンパニー」との
M&Aを実施しました。ワタミグループがマネジメントする海外企業としては、シンガポールのリーダー・フード社に続いて2社目となります。同社は、ホテルやスーパーマーケット向けに寿司の加工と卸販売をしている会社です。既存の販売チャネルに新たな商品や業態の提案を重ねていくことで、ラスベガスの一流ホテルへのデリバリーや大手スーパーの寿司コーナーでの販売といったビジネスモデルを磨き上げ、これを他州にも展開できるように準備を進めています。
また、アジアにおけるワタミグループの拠点を香港からシンガポールに移しましたので、フィリピンやベトナムでの出店も加速しています。特にフィリピンでは非常にスピーディーに拡大しており、現在21店舗を展開しています。韓国では昨年、再出店した小規模な居酒屋が好調で、今期5号店まで一気にオープンし、6店舗目のフランチャイズ契約も交渉中と順調に進んでいます。今後も海外事業を拡大するための施策を積極的に打ち出していく予定です。
念願のアメリカ本土へ進出!
ラスベガスにある
サニー・スシ本社を訪問
「居酒屋 和民」
1号店オープン式典
韓国では現在5店舗を展開
季節の特別弁当「うな重」が過去最高売上を達成するなど、売上利益は予算通りに推移していますが、食数の増加や新規獲得には課題がある状況です。下期に向けては、キャンペーンの強化を図るとともに、「おいしい健康」と共同開発した糖尿病の方に適した新商品や、介護施設向け「かんたん厨房」など、新たな顧客層を獲得するためのメニューも揃いつつあります。
これにより、さらに食数を増やすための営業活動にも一層力を入れて取り組んでまいります。
また、宅食ダイレクトの冷凍惣菜事業も新しい事業の柱として順調に成長しています。自社工場であるワタミ手づくり厨房尼崎センターが本格稼働し、製造体制が整ったことで、ワタミファームの有機野菜を使用した魅力的な商品の開発も順調に進んでいます。これからもお客様に喜んでいただけるよう、美味しさと健康にこだわった商品を提供していきたいと思います。
グラスフェッドアイスキャンペーン
販売1週間で2万個以上の大ヒット
山田養蜂場とワタミファーム美幌峠牧場のグラスフェッドミルクを使用したコラボ商品「はちみつアイス」は、外食店舗のキャンペーンにおいて、非常に好評でした。また、有機のきく芋茶を使った商品を伊藤園様と共同開発中です。ワタミファームの有機素材を使用したコラボ商品については、今後も他社とのアライアンスも引き続き積極的に進める予定です。
さらに、この秋からは、味噌に有機のきく芋を加えた「お通し」を店舗で提供する計画です。菊芋に含まれるイヌリンは血糖値対策に良いとされ、お客様には美味しく食事を楽しみながら、健康的な食体験を提供することを目指しています。
“継続”してこそ意味がある地域・社会貢献、SDGsへのワタミの取り組み
―SDGs、地域・社会貢献へのワタミの取り組みについてお聞かせください。
未来の子どもたちのために
これからも続けていきたい活動
1999年からスタートした「わたみの自
然学校」は今年で26回目を迎えました。一昨年からは陸前高田市のワタミオーガニックランドで開催し、小学4年生から6年生の子どもたちが命や自然、そして将来の夢について体験を通して学ぶ機会になっています。コロナ禍で一時的に中断していた養護施設の子どもたちを招いての「お食事会」も再開し、1999年から続くこのボランティア活動は、これまでに通算
370 回以上開催しています。
さらに、全国の高校生たちがビジネスアイディアを競う「高校生みんなの夢アワード」は今年で5回目を迎え、来年は大阪万博のメイン会場で開催する予定です。企業が行う地域・社会貢献活動は、継続することが何よりも大切であり、活動は“やってあげる”のではなく、「させていただく、学ばせていただく」という心からの気持ちで取り組むことが、“ワタミらしさ”
だと思います。
ワタミグループの SDGsへの取り組みも着実に進んでいます。例えば、店舗から出る食品残さを再生利用して飼料に配合することで、その飼料を使って生産された鶏の卵「Re
エッグ」を店舗の食材として活用し、お客様に提供するという食品リサイクルループが構築できました。また、私たちの取り組みをさらに拡大させるために、自社で創出したカーボンクレジットをワタミエナジー事業の一環として対外的に販売する取り組みも開始する計画です。
今年度の全社テーマである“賃金を上げられる会社”の
進捗についてもお聞かせください。
―SDGs、地域・社会貢献へのワタミの取り組みについてお聞かせください。
今年度から経営目標数値に人件費総額を設定し、来年に5%の賃上げを実現するために、別途予算を組んで取り組んでいます。つまり、人件費総額の確保に向けた売上向上と生産性向上という目標を掲げています。この目標に対して、第1四半期はクリアできているため、現時点では、来年5%の賃上げが可能と判断しています。ワタミで働くことを通して、社員全員がそれぞれの幸福を実現できるよう、企業として必要な取り組みを強い実行力をもって進めていきたいと思います。
―最後に、株主様へのメッセージをお願いします。
40周年記念で作成された
特別VTRとともに、
今後の事業計画を発表
今年は5年ぶりにパシフィコ横浜ノースにて「開かれた株主総会」を開催できました。多くの株主様の声を直にお聞きできて、ワタミが考える成長戦略を共有するということの大切さを改めて実感いたしました。今後も常にオープンに情報発信を行い、株主の皆様にも経営者としての思いを共有させていただきたいです。
創業からの歩みを振り返ると、良いときも悪いときもありましたが、この40 年間 は私たちにとって、“ワタミモデル
”というものを作り上げるための準備期間であったと感じています。そして今、ようやくワタミが世界に対して貢献できるステージが整ったと思っています。これからの50年、60年に向けて、いよいよ本当の勝負が始まります。ワタミの挑戦と成長はこの先も続いていきますので、株主の皆様には今後の展開を楽しみにしていただきたいと思いますし、私自身も最も楽しみにしております。
今後ともワタミグループへの変わらぬご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願
いいたします。