ありがとうをあつめて40年
ワタミは創業40周年を迎えました。ワタミの目指すSDGs達成年2030年、そしてその後に続く持続可能な100年企業を目指す思いは、SDGs宣言「SDGs日本一を目指す」、グループスローガン「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」を具現化したものでもあります。
ワタミの40
年にわたる環境社会貢献の取り組みとその成果、そして現在取り組んでいるマテリアリティ(重要課題)について、代表取締役会長兼社長CEO 渡邉美樹と執行役員SDGs 推進本部長百瀬則子の対談で紹介します。
ワタミの地球環境や地域社会への思い 美しい地球を美しいまま、
未来の子どもたちに残していく・・・40年間続けてきたこと(脱炭素社会、循環型社会)
百瀬:ワタミは40周年を迎えましたが、その間ずっと企業活動から発生する地球環境課題解決や地域社会への貢献に、社員全員で取り組んできました。
渡邉:ワタミの外食店舗や宅食事業では、毎日たくさんの廃棄物を排出し、その廃棄物が地域社会を汚していることに気づいたのは、お好み焼きの宅配事業をやっていた時でした。地域のゴミ集積所に大量の発泡スチロール製の自社の容器が捨てられているのを見て、「これは何とかしなくてはいけない。」と思った時です。目の前の廃棄物問題だけではなく、ワタミ全体の環境問題を解決するために、ISO14001に取り組み、1999年に外食業界初の認証を取得しました。その目的は「社員一人ひとりが自分の仕事や生活で自然環境を汚さないように考え、行動することで、自分の家族や友人、周りの人たちに伝わり、たくさんの人が共感して地球環境保全に動いてくれること」です。
百瀬:それから 25 年間、ISO14001
を継続して、社員全員が毎日PDCAを回しています。そしてその思いは未来を生きる子どもたちにも伝えていますね。
渡邉:ちょうどその頃、北海道の有機農場に視察に行って感じた大自然への感動を、子どもたちにも感じてほしいと思い「わたみ北海道自然学校」を始めました。場所が一昨年から陸前高田市に代わりましたが、今年で26年目になります。未来を生きる子どもたちに自然を好きになり大切にする思いを伝えるワタミの大事な環境活動です。また、わたみ自然学校では子どもたちだけではなく、先生として参加する社員の教育の場にもなっています。子どもたちにどのようなことを伝えたいのか、何を学んでほしいのか、ということを真剣に考えることで、私たち大人が果たすべき責任が見えてくるわけです。地球環境を守ることは、未来の子どもたちへのプレゼントだと思っています。
百瀬:2010年には、外食業界で唯一エコ・ファースト企業に、環境大臣から認定されました。
渡邉:外食店舗や食品工場から排出される食品残さで堆肥をつくり有機農業に使い、できた作物を店舗で使うという食品リサイクルループと、日本酒びんのリユースという循環型社会への取り組みが評価されたのですね。ワタミが環境保全活動のリーディングカンパニーとして、関心の薄かった外食業界が、後に続いてくれれば嬉しいと思ったのです。現在も食品リサイクルループや、宅食のプラスチック容器回収リサイクルは、サーキュラーエコノミーとして他社の見本となるビジネスモデルです。また、ワタミモデルは脱炭素社会にも貢献しています。環境問題に取り組む企業が増えれば、成果が上がりコストも下がります。ワタミだけが独走するのではなく「地球に良いことはみんなでやろう」というのが大事です。
百瀬:地域社会貢献活動としては、「お食事会」も25年続いています。
渡邉:私は学生時代から養護施設への支援を行っていますが、「養護施設の子どもたちや障がいのある人たちは、他のお客様の目が気になるから、外食がなかなかできない」と聞いていました。「それなら営業時間前に店に来てもらえばよいのでは」ということで始めたのです。社員たちが自ら手を挙げてボランティアに参加し、どうしたら喜んでもらえるかと相手のことを考えて工夫を凝らすことや、ボランティアの意義を理解することは、今ではワタミの企業文化になっています。
ワタミの人権方針は、社員やワタミに関わる人の幸せのためにある
社員の幸せ日本一を目指す・・・働きやすい職場づくり
百瀬:SDGsは環境のことだけではなく、人の幸せに関する重要な目標があります。2023年に「ワタミ人権方針」を定めました。
渡邉:創業時から、社員を幸せにすることを経営目標の第一に置き、そして社員が幸せに働き、幸せに暮らすことを、ワタミのミッションにしています。
また、「一人でも多くのお客様にあらゆる出会いとふれあいの場と安らぎの空間を提供すること」を事業理念として、お客様に喜んでいただける店づくりに励んでいますが、そこで働く人たちが幸せであることもとても大切だと思っています。自分が幸せであれば良いサービスができ、それを喜んでもらうことを嬉しいと感じられます。縁あってワタミという会社に関わってくれたのだから、何としても幸せになってほしいという思いを「ワタミ人権方針」として発表し社員に周知して、安心して働ける職場作りを進めています。それが理解され実行されているかどうかデューディリジェンスを実施し、人権問題が未然に防げるように、2024年には「ワタミ人権リスクガイドライン」を策定します。
百瀬:ワタミ社員だけではなく、お取引様で働く人の問題でもあります。
渡邉:一緒にビジネスをする、仕入れや生産(魚を捕ることも)や運輸に関わる会社や人も「自分が幸せだからよいサービスができる」という価値観を同じくするところとサプライチェーンを組んでいきたいと思っています。そのため、2023年に「サプライヤーガイドライン」を策定し、お取引企業様向けアンケートを実施し同意していただいています。また人権問題に対応する「ワタミヘルプライン」はワタミ全従業員だけでなく、サプライヤーで働く人たちも利用できます。これからも私たちを支えてくださるサプライヤーと共に人権の尊重や擁護に取り組んでいきます。
ワタミモデルはお客様と一緒にネイチャーポジティブに貢献
農薬や化学肥料を使わない有機農産品を提供しています
百瀬:ワタミファームの有機農業は、人間の健康だけではなく、生物多様性を保全する農業です。
渡邉:地球環境保全に関して、今までは地球温暖化を防ぐ脱炭素が最重要課題でしたが、これからは地球に生きる人間だけではなく、生き物の命を守り増やすことが重要です。
ワタミファームの有機農業は農薬や化学肥料を使用していないので、土の中の微生物や畑の昆虫など生物多様性が保全されています。先日もファームに行ったときに、畑に蝶が飛んでいるのを見かけて嬉しく思いました。北海道の美幌峠牧場では農薬や化学肥料を撒いていない牧草地で育てた乳牛のグラスフェッドミルクを出荷し、これでアイスクリームを生産して店舗で販売しています。
百瀬:この美幌峠牧場は自然や生き物と共存しているということで、国に自然共生サイト(OECM)申請の準備を進めています。
渡邉:ワタミは地球上のすべての生き物が、生き生きと暮らせる環境を守ることを目標として活動しているので、それがネイチャーポジティブに繋がることは、とても自然なことです。
ワタミファームの有機農業で育てられたさつま芋やレタスを、外食店舗や食品工場でお客様に食べていただくことは、美味しいだけではなく「お客様も一緒に地球環境に貢献している」ということです。それをもっと世の中に伝えていきたいですね。
復興と、未来に残す美しい自然のために、陸前高田でワタミの森活動を始めます
百瀬:ワタミは事業活動だけではなく、未来の子どもたちに美しい自然を残すために、「ワタミの森」活動で森林再生を社員やボランティアとともに行っています。
渡邉:ワタミと協働している公益財団法人Save Earth
Foundation(SEF)とともに、荒廃した森林を陽の射す明るい森に再生する活動を進めています。これは森林とそこで暮らす生き物を保全するネイチャーポジティブへの貢献だけではなく、CO²を吸収して地球温暖化防止のためでもあります。
百瀬:今年から岩手県陸前高田市の森林再生活動を始めます。
渡邉:陸前高田市と2023年にワタミエナジー(株)とSEFが市と協定を結び、560haの広大な森を再生し、生物多様性保全とCO²吸収能力をJ-クレジットとして発行をすることで、地球環境保全と災害復興に貢献する計画です。そしてここにはワタミオーガニックランドがあり、わたみ自然学校も開催しています。
百瀬:陸前高田市の森林再生事業「企業の森」は、SEFの多くの会員企業と協働で進める計画です。
渡邉:たくさんの企業が「企業の森」に参加して、社員や家族と一緒に森の活動を通して地球環境に関心を持ってもらうことも大切なことです。未来の子どもたちに、美しい地球を残せるかどうかは、私たち大人の生き方にかかっています。
一人でも多くのワタミの社員や企業の方たちと活動を広めていきたいですね。